2011年2月19日

建築(内外装)板金一級技能士検定受験者を応援する②

谷升正面図
さて、前回からの続き。次に罫書きにおいて苦労すると思われる八千代部分についてのみ、ネチネチと説明していきたいと思います。先ず最初にお断り。八千代部分は色々な方法で描くことができます。私がこれから説明する方法は必ずしも早く罫書く事ができませんが正確です。文末にてもう一つの簡単で感嘆という方法もご紹介致します
MISSION 1 谷升正面図を必ず描け!

最初に谷升の正面図を展開図作製時ケント紙に描いたものを切り取り作業所に持ち込むか、支給される鉄板(以下ワーク)に罫書くということを必ずして下さい。正面図画像を見てもらうとわかりますが、赤い四角で囲んだ部分の数値には小数点以下第2位までかいてありますように差金の目だけでその長さを罫書くことは不可能だからです。特にこの八千代部分は仕上がり時に点の重なりが重要な採点基準となりますので、まずは正確な罫書きが重要になります。作業所に持ち込めるコンパスは三丁までとなっておりますが、その内の一丁にスプリング付コンパスがあるとネジで微調整ができるので必ず役立ちます。
ここで正面図の解説を一箇所だけ『B』の決め方から。正面図線分ACのAを足とする鉛直線上にありますので差金の角をAに当てて垂直線を罫書いてやると交差した点がBです。(差金はかならずJIS印があるモノを使うこと)

八千代部分の罫書き図
説明しやすいように、これから各点に名前等を割り付けておきました。これは実際のワークに罫書く必要なありません。混乱を避けるために描いておきたいという方は鉛筆で描いて後で必ず消しましょう。


MISSION 2 先ずは基準線となる線を描け!

赤い直線①を基準とし交点をAとします。二つの①は必ず直交させること。
※この基準線ですがワークの、どの辺りに罫書けばよいのか迷うかもしれませんが、次回以降の全体図について説明すると思いますのでしばしお待ちください。


MISSION 3 Aを基準とし2点を置け!

Aを基準としてB,C(B',C')を置きます。まず正面図よりABの長さをコンパスで正確に写しとります。(絶対にスプリング付コンパスが便利です)。Aに片方の足をおいて①の直線上に印を入れてBとします。同じように正面図からACの長さをコンパスで①の直線上に印しC(C')とします。ここでC(C')から70ミリ外側にあるD(D')も印しておくと良いです。
ここでは八千代部分のみの罫書きなっておりますが、反対側のハンダ付けをする箇所まで罫書く事!その際に罫書いたものが㋐㋑の線です。これを罫書いておかないとFを罫書く時に苦労します。


MISSION 4 E(E')を決めろ!

先ほどD(D')を罫書いた時に、コンパスを使いましたか?差金で70ミリを読んで置きましたか?どちらでも正解なのですが、私ならばコンパスをお薦めします。今回の作業で70ミリを必要とするからです。その70ミリに合わせたコンパスの片足をC(Ç’)に置き、E(E')が罫書かれる辺りに円弧で印しをしておきます(赤い円弧線が見えると思います)。
次に正面図よりBD(BE)の長さをコンパスに写しとり、その片足をBにおいて先ほど罫書いた円弧と交差するようにE(E')の位置を決めます。
BE(B’E’)を結ぶ直線を罫書き、その延長線が㋑と交差したところがF(F')となります。(最初に㋑を罫書いておく利点がコレ)


MISSION 5 Gを置け!

正面図よりGBの長さをコンパスと写しとり、今までと同じ様にしてG(G')を罫書きます。


これが正確で時間のかかる罫書き方です。『俺はスピードが欲しいのだ』というあなたに・・・もう一つのイカサマ罫書き方法を伝授w


裏MISSION 1 正面図を必ず罫書いて切り抜け!

正確に切り抜きましょう。鋏での剪断ですので切り取られた部分が多少の変形をすると思いますのでレール等でかならず平面になるように切り口を修正しておきましょう。
重ねた状態
画像の青い線部分が正面図を切り抜いたものと思ってください。このように合わせることで

裏MISSION 2 表MISSION3のBを置くまでやれ!
Bに先ほど切り取った正面図のAを重ねると何度もコンパスで長さを移さなくても角度もすべて罫書けます。


裏MISSION 3 正面図を使い倒せ!
Bと角度が決まればFまでは罫書けたと思います。正面図にはそのまま長さが罫書かれておりますので欲しい長さを当てて各点を罫書いてゆきます。
各点を決める(例E)
百聞はなんとやら、図をみて理解してください。先程と同じように青い部分が正面図を切り取ったものとお考えください。こちらの場合多少、正確さは欠けますがコンパスを使うよりも早いです。コンパスを使い慣れていないと長さを写すときにズレが生じて精度が落ちる事もありますので、どちらも一長一短です。


組立時の注意事項
この展開図は鉄板の厚みを全く鑑みておりません。八千代折りの部分では個人の技量によりマージンの取り方がかわってくるからです。マージンが必要になる部分は□AGBGのBG、BG'・□CDFE(C'D'F'E')のDF、FE(D'F',F'E')となります。
これは個人の技量によるところが大きいので、各自調整して下さい。

※試験のときにケガいた谷升の正面図は、角度ゲージ(100度)として使います。

※八千代折の部分は、どっちがどちらに重なるかも審査対象(図面を正確に読める)となるので間違えないようにしましょう。


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